長らく後藤浩二ファンが待っていた8年ぶり、通算9枚目の「時刻 -TOKI-」はソロ・ピアノで、すべてオリジナル曲。コロナになってから書いた曲が大半をしめ、日本で最も美しいピアノを弾き、紡ぎ出されるメロディーはとてもやさしく、人の心を穏やかにする。このアルバムでも心に染みわたる曲が、波のように押し寄せてくる。まるで一本の映画を見るかのごとく聴ける、爽やかさと哀愁のある作品。1曲目のアルバム・タイトルにもなっている「時刻 -With the Passage of Time-」は、コロナの最中に作られた曲で、日本語から先行するタイトルに自身が伝えたい気持ち、メッセージを感じる。嬉しいのは、2007年の名曲「Hope」が「Hope 2023」として再収録。時の流れを愛おしく見つめる後藤浩二のピアノが最高に美しく輝く。